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「待って…!祥太郎ーっ…!!」
自分の鞄を取ってきて急いでその背中を追いかけた。
いつも祥太郎には助けられてるし、やっぱり放っておくなんてできない。
やっと見つけた祥太郎は案の定ふらふらで、たまにコンクリート塀に頭をぶつけていた。明日たんこぶできてそう。
「待って…っ大通り出てタクシー拾おう」
追いついて肩を貸し、祥太郎を誘導する。
素直に従ってくれるのはいいんだけど…
「…、…」
おっも…
酔っ払いって、こんなに重いの…
肩にかかる重みにふらふらしながら、とりあえず大通りに面しているコンビニに辿り着いた。
「ちょっとここで座って待ってて。はい、水」
コンビニで買ってきた水を祥太郎に渡し、車止めのブロックに座らせる。
大通り沿いまで行って必死でタクシーを探した。
金晩なこともあって割とすぐにタクシーは通りがかって、一生懸命手を振ったら私の前で止まってくれる。
「あ、すみません呼んでくるので少し待ってください」
運転手さんに断りを入れて急いで祥太郎を呼びに行く。
「祥太郎!タクシー来たよ」
「………」
返事がない。
…え。
「祥太郎?」
「………」
「!ちょ、ちょっと!座ったまま寝ないで…っ起きて…っ」
「……、…?」
ぼんやり顔を上げた祥太郎にホッとして、なんとかタクシーまで連れていった。
中に乗り込み、行き先を告げると車が走り出す。
ふぅ…と一息ついていると、肩を貸したままになっていることに気がついた。
それとほぼ同時に、祥太郎が自分から私と離れて扉側にもたれかかる。
「………」
酔ってても理性的な奴だな、と思う。
だいたいみんな酔うと異性とのスキンシップが増えるし、なんならそれ目的みたいなところがあるのに、祥太郎は一切そういうことがない。
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