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そして。
そのチャンスが訪れるのは早かった。
「うちのサークルに入ってくれることになりました、春野彼方くん。春くんでーす♡」
あからさまに語尾にハートマークをつけて、幹部の女の先輩が紹介した。
「よろしくお願いします」
甘いマスクで微笑んで見せる彼に、女の子たちが一気に色めき立つ。
私がいるのに、ここのサークル入ることにしたんだ…
綺麗な人がたくさんいるから?
本当に私なんか眼中にないんだな。
きっといてもいなくても変わらないんだろう。
「じゃぁ新メンバーを祝して乾杯っ!!」
サークルの代表の男の先輩の声で、グラスをぶつける音があちこちで響く。
今日の飲み会は彼方の歓迎会ということらしい。
1人くらい誰かが新しくサークルに入ったって、いつもこんな会開かれないのに…
彼はいつも特別で、どこでも目立つ存在。中学の頃からそうだった。
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