二度と起きない奇跡

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「春くんこっちおいでよ」 「だめよ、まだ私と話してるんだから」 「ちょっと次は私予約してたんだけど」 さっきから、ハーレムもいいとこ。 居酒屋の2階の座敷を貸し切り。 今日の飲み会は彼方がいるからか、女子の参加率が以上に高い。 目の前で繰り広げられる先輩美女たちの争いを、彼は慣れたように涼しい顔で眺めては、 「あんまり俺のこと、困らせないでくださいね?」 なんて、とろけるような笑顔をして見せる。 「っ…は、はいぃ…♡」 全員完全に目がハート。 この後彼と一夜を共にしたいと思っている人ばかりだろう。 噂では来るもの拒まずらしいし。 きっと今日も誰かと夜の街に消えていく。 …どうしよう、そんなの嫌だ。 「あ、あのっ…彼方…っ」 私も何かしないと、という焦りから思わず声をかけると、一斉に視線が私に向けられる。 この間と同じ。 私が彼を呼ぶとなぜかいつもすごい目で見られる。 どうしてだろう… 私なんかが彼に声をかけるなってこと?
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