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「まーた真白はおセンチになってんのかぁ?」
同期の男の子がわしゃわしゃと私の髪を乱す。
サークルの同期はみんな仲が良くて、このくらいのスキンシップは通常運行。
特に私は背も小さくて童顔なせいか、みんなに犬みたいに扱われている。
「おセンチなう」
「例の忘れられない人?」
「そう…」
「好きだねぇ」
「みんなぁぁぁオラに元気を分けてくれぇぇぇ」
「お前なぁ…黙ってれば可愛いのに。喋ると急に馬鹿丸出しなんだよ」
同期にデコピンされて、痛がる私をみんなが笑った。
本気で痛い。
「まぁまぁ元気出しな真白ぉ」
「ゆんちゃぁん…」
「なんでも今日の飲み会、先輩が超イケメン連れてくるらしいよぉ?いい加減推し変して大学生活楽しみなって」
「あー俺もそれ聞いた。帰国子女とかで最近編入してきたんだろ?」
「そうそう、王子が来たとかって初日から大学中の噂になってた人。祥太郎と同じ学部だよ。知らない?」
「知らねぇ。だいたいなんだよ今時王子とか」
「祥太郎って本当噂とか興味ないよね…。まぁ今ではその人、王子どころか、」
ゆんちゃんが何か言いかけたところで、ザワッと急に居酒屋の入り口付近が騒がしくなった。
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