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「全っ然起きないね」
「ねー誰か真白の家知ってる?」
「知らん。確かこいつ大学からすげー遠くなかった?」
「たしかそう。唯一祥ちゃんが家近くてよく一緒に帰ってるよね」
同期のみんなの声がなんとなく聞こえる。
起きなきゃ…眠い…
起きなきゃ…眠い…眠い…
「祥太郎今日バイトだっけ?」
「そろそろ上がんじゃね?連絡してみる?」
そんな声とほぼ同時。
ふわりと体が宙に浮いた。
「送ってく」
「え?お前真白んち分かんの?」
「………」
「あれ?おーい?」
次第に同期たちの声は聞こえなくなって、外を歩いてるんだなということは分かった。
一定のリズムで体が揺れてすごく心地いい。
甘い匂いがする。
この匂いを、私は知っている。
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