上書き

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「…いい?」 ちゅ、と耳にキスされながら囁かれる。 こくりと頷くと彼方が起き上がり、ベッドのヘッドボードの引き出しを開けた。 すぐに出てきたそれを、複雑な心境で眺める。 …やっぱり、慣れてるんだな。 よく女の人、ここに連れてくるのかな。 少し酔いが覚めてきて、そんなことを考える。 でももう後戻りする気はない。 偽りだとしても、彼が今くれる愛をすべて、全身で受けとめたい。 「…なんで後ろ向くの」 彼方が避妊具を付けたのが分かって、この前と同じようにしようとすると、それを制された。 「え…?彼方、私の顔見てするの、嫌なのかなって…」 「っ!」 目を丸くしてみるみるうちに顔を歪めた彼方は、力一杯私を抱きしめてくる。 「え、かな、」 「違う!違うから……。ごめん、真白…おいで、抱っこしてしよ」 そう言って彼方は、私を抱きしめたまま、ゆっくりと腰を進めた。 「痛かったら言って」と言われたけど、全く、一切痛くない。濡れてるから、ってやつなのかな。 彼方の動きが止まって、最後まで入ったのが分かる。 奥に感じる熱が、じわじわと私を刺激する。 動かなくても、好きな人が中にいると思うだけで、こんなにも気持ちいい。
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