見えない首輪

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見えない首輪

あの日部屋を出てから分かったけど、彼方の家はアパートというよりマンションに近かった。 大学と駅の間くらいにある、立地最高の綺麗なマンション。 そして驚くことに、 「いらっしゃいませ〜」 私のバイト先のすぐ近くだった。 本当にびっくりした。 マンションの階段を下りて道に出たらすぐここがどこか分かったくらい。 なんなら、いつもバイトに行く時に通る道。 よく今まで会わなかったなぁ… まぁでも彼方って2年の途中から編入してきたんだよね?割と最近だし、会わなくてもおかしくないか… レジに立ちながら「いらっしゃいませ〜」と機械的な挨拶をする。 あの夜から3日ほど腰が痛くて死ぬかと思ったけど、ようやく普通に立って歩けるようになった。 ヨボヨボ状態の私に店長は「どうしたの?!」とびっくりしていて、「ぎっくり腰です」と嘘をついてしまった。 優しい店長は「休んでよかったのに」と言ってくれたけど「金欠なんです」と言うと、気を遣って裏の仕事メインにしてくれて…。なんて温かい職場なんだ。
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