見えない首輪

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コンビニ内の時計を見ると21時半を指している。 あともう少しで上がりの時間。 お客さんは誰もおらず、ふぁ…と欠伸が溢れる。 今日新しいデザート入ってきてたなぁ。 美味しそうだったし、試食兼ねて買って帰ろうかなぁ… なんて考えていると、入口の方で聞き慣れた入店音が流れた。 「いらっしゃいませ〜……、?!」 入ってきた人物に目を見開いて、思わずしゃがみ込みカウンターに隠れてしまった。 飲み物のコーナーに歩いて行くその人。 カウンターで目だけ出して恐る恐る確認する。 …ど、ど、どうしよう。彼方だ。 今日も麗しいその姿。 セットされていない柔らかそうな髪。儚げで綺麗な目元。透き通る白い肌。 こんな時間だし、オフモードなのか、少し気怠げで、ラフな格好のところを見ると、家から来たんだろうか。 今まで一度もコンビニ内で会ったことがなかったから、ここからすぐ近くにある大手コンビニの方を普段利用しているんだろうと勝手に思ってい た。 うちのコンビニは少しマイナーで、お客さんも少なめ。 だから油断していた。
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