見えない首輪

4/12
前へ
/203ページ
次へ
「お疲れさま」 ドキドキしながらコンビニを出ると、本当に外で待っていた彼方。 「あ、ありがとう…」 もじもじしながらそう言うと、彼方がそんな私を穏やかな顔で見下ろしている。 「じゃぁ行こっか」 「へ…どこに…?」 「俺の家?」 さらっと言われて、「そうだね」とそのまま流しそうになった。 すぐに非常事態に気がついて慌て始める。 「え、え、え」 「何そんなに慌ててるの」 「今日は、今日はだめっ…」 「どうして?」 ど、どうしてって…! 「っだって、急だし、心の準備できてないし、まだやっぱり恥ずかしいし、腰が治ったばっかりだし、下着も二軍のやつだしっ…!」 動揺しすぎて余計なことまで口走ってしまった。 顔を真っ赤にしている私を見て彼方がくすりと妖しく笑う。 「まだそういうことするとは一言も言ってないけど?やらしいなぁ、真白」 「っ!」 かあぁぁっと噴火しそうなくらい更に顔が赤くなった。 「ていうか腰痛かったんだ、ごめんね」と言われたけど、そんなことはもはやどうでもいい。 恥ずかしすぎて、死にたい。 見ないで、と腕で顔を隠した。 「か、帰る」 「冗談だよもう。いちいち真に受けてたら身持たないよ?」 「っやだぁ」 「何が嫌なの…ほらおいで。何か簡単なおかずも作ってあげる。さっきからお腹の音聞こえてるよ」 「いやあぁ」 幼児化している私を半ば引きずって、彼方が強制連行していった。
/203ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1337人が本棚に入れています
本棚に追加