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「あ、の、春野くん…」
「ん?」
「なんでそんなに見てるの…?」
恥ずかしいなんてもんじゃない。
大層な体じゃないし…
きっと彼方が遊んできた女の子に比べると私の体は貧相すぎる。
「恥ずかしい?」
「う、ん……あの、電気…」
「消さないよ。俺、真白が嫌がったり恥ずかしがってるのを見るのが好きみたい」
「っ!」
とんでもないことを言い出した彼方は、不意に私の足元に跪いて足の裏を持ち上げる。
ピチャ、と水音が響いて、ありえないことをし始めた彼にギョッとした。
「っな!なにしてるの…?!」
「何って?」
「や、だめっ、汚いから…っ」
「汚くないよ」
ぬるっと足の指の間に舌が入り込む。
ぞわ、と悪寒とは違う鳥肌が立つのを感じて、そんな自分が怖い。
シャワーも浴びてないのに、こんなことするなんて信じられなくて、必死で抵抗した。
「っや、やめてっ、はるのくんっ…」
半泣きになりながらお願いすると、足の親指を咥えていた彼方がようやくやめてくれた。
ぺろ、と唇を舐めて、満足そうな顔で私を見下ろしている。
ちょっと異常な彼の一面を目の当たりにしてしまった気がした。
「引いた?」
「…え…?」
「俺のこと怖い?」
「こ、怖くないよ」
「“あの時”から、こういうことしたかったって言っても?」
“あの時”とは、付き合っていた頃だろうか。
ギラ、と一瞬黒い欲望のようなものが彼方の瞳に映った。
思わず目を逸らして息を呑む。
引いてはない。怖くもない。それは本当。
これは…なんて言うんだろう。
こんな綺麗な顔の人にこんなことしてもらってる罪悪感…?背徳感…?
でも、ドキドキと心臓の音は速い。
「…こういうの、他の人にもするの…?」
「さぁ、どうだろうね」
「………」
「俺が結構潔癖なの知ってるでしょ?そういうこと」
…そういうことって、どういうこと?
首を傾げて見上げると、彼方は目を細めて妖しげに微笑んだ。
「お馬鹿な真白ちゃんは、黙って俺に飼われとけばいいんだよ」
表情は柔らかいのに、なぜかゾクッと背筋が震え上がった。
ガチャンと首輪をつけられたような錯覚に陥る。
もしかして私…
とんでもない人と付き合ってた…?
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