見えない首輪

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「真白ってさ」 「うん?」 「俺の家に私物置かないよね」 いきなりそんなことを言われて、ココアを吹き出しそうになった。 「っへ…な、なに、急に」 「なんで?」 「なんでって…」 「………」 「……他の女の人が来た時に、あると困るかなって…」 …あ…なんか、嫌味っぽかったかな。 どうしよう、うざいと思われたかも。 「っあ、違うよ?それが悪いとか言ってるんじゃなくて、ちゃんと立場はわきまえてるし、」 「真白以外、この家来たことないよ」 思いもよらない言葉に、驚いて顔を上げる。 彼方は読み取れない表情で私のことを見ていた。 「この意味、分かる?」 「………」 分かる?って言われても… 分からない。彼方が何を考えているのか。 だって、最初はあんなに酷いことばっかり言われてたし、急に優しくされても、正直信じるのが怖い。 期待して裏切られた時は、今度こそ立ち直れないから。 この曖昧な関係は、悲しくも防御線を張っておける。期待せずに自分を保っていられる。 それが私を余計に沼らせているんだけど…
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