底なし沼

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「ねぇ真白」 「っ!」 ガシャンッとフェンスが音を立てる。 もちろんその音の犯人は彼方で、驚いた私はびくっと身を縮こませた。 「へ…」 「有野くんと随分仲良しなんだね」 「?、?…打ち合いしてただけだよ?」 「ふーん?」 穏やかな口調とは裏腹に、彼方の後ろに黒い影が姿を現し始める。 ぞくりと背筋が凍って、一歩後ずさった。 「あの、春野くん…?」 「ん?」 怒ってるの…?と聞こうとしたら、彼方が掴んでいるフェンスがミシミシ音を立てて変形していることに気付いて顔面蒼白。 っひいいぃぃぃ… 訳がわからず慌てていると、そこへ救世主現る。 「おーい、春、真白」 「…あ…、アルハラ先輩…」 こちらのただならぬ空気には気づかず、話しかけてくれた男の先輩。 心の底からホッとしている私の横で、彼方からちっと舌打ちが聞こえた気がした。 ……ん?気のせいだよね? 「おい、誰がアルハラだ」 「ごめんなさい間違えました」 「お前心の中でそう呼んでるだろ」 「ま、まっさかぁ」 「白々し…まぁいいわ。今日の飲み会の出欠とってんだけど、2人はどうする?」 飲み会かぁ。 今日はバイトもないし、お給料も出たから行こうかなぁ。
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