底なし沼

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「行きま、」 「俺と真白は欠席でお願いします」 「…え?」 「今日予定あるってさっき言ってたでしょ?」 いや…一言も言っておりませんが… 「あ、そうなんだ?」 「いや、私は…」 訂正しようとしたら、横から有無を言わせない威圧感を感じてピシッと固まる。 一体何が彼をそうさせているのか、頭の中はハテナマークだらけ。 そんな私に、彼方が先輩には聞こえないように耳打ちしてきた。 「今日はデザートもつけてあげるから、家においで」 「!」 そんなお誘いに、一気にそちらに傾く。 何を隠そう私は彼方のハンバーグを食べてから、彼の作ってくれるご飯にすっかり虜。 大学生で実家を出てから、料理は苦手で基本お惣菜かコンビニ弁当しか食べていなかった私にとって、人が作ってくれた、それも好きな人が作ってくれたご飯が最高すぎて… 彼方が作ってくれたものは本当になんでもおいしい。サラダはたまにドレッシングまで手作りだし、お味噌汁の濃さは私好みだし、料理してる姿はかっこいいし…(これは関係ないけど) ご飯だけならまだしも今日はデザート付きだって…?! そんなの… 「今日は不参加で!」 もう頭はデザートでいっぱい。 にへらっと笑ってアルハラ先輩に返事をすると、私のだらしない顔に若干引いていた。 「お、おう、分かった。また来いよ」 「はぁい」 手を振って先輩が去って行くのを見送る。 見上げると満足気にしている彼方。 よかった。よく分からないけど機嫌直ったみたい。 …と、思っていたのに。
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