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side 柊花
『デートしませんか?』
愁が突然そう誘ってくれた時、一瞬時が止まったような気がした。
だって、付き合ってから2年ちょっと。同棲を始めてからも随分経つけど、外で会ったことは一度もなかったから。
それも言われた日は私の誕生日。
夢のようだった。
誰にも見られないよう細心の注意を払って、時間と場所、行動について細かく指示されたけど、そんなのまったく気にならない。
一秒単位で行動を制限されてもいい。それくらい、この日を楽しみにしていた。
愁が私の安全のためにかなり準備してくれていたのも分かってる。
きっと…権力というものを使って裏でいろいろやってるんだろうけど、私はそれを知らないフリをする。そういう約束だから。ただ与えられたものを、素直に楽しむだけ。
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