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「…そろそろ料理、来ますよ」
「まだこない」
「あとでしてあげますから」
「やだ、ちょっとだけ」
「……絶対ちょっとじゃ済まないって」
言いながらも、ちゅ…と唇にキスしてくれる。
舌を入れるとお互い止まらなくなるのは分かっているから、角度を変えて啄むような柔らかいキスだけ。
…の、つもりが。
やっぱり我慢できなくなるのは私の方で、その首に腕を回して口を開けると、じゅっと舌を吸われて唇を離された。
「…もう終わり」
「やだ…まだ」
「せっかく綺麗にしてるのに、ぐちゃぐちゃになりますよ」
「ぐちゃぐちゃにして…」
「〜っ」
一瞬息を呑んだように見えた愁だったけど、パッと離れて体を起こしてしまった。
ふーっと精神統一するみたいに息をついている愁に対し、私はベッドに寝たままねだるようにその顔を見つめる。
「……そんな目で見てもだめです」
「………」
「…メインは赤ワインに合う牛ステーキらしいですよ」
「っ本当?!座ろう!今すぐ座ろう!テーブル行こう!!」
「…ほんと単純」
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