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「はぁ……全部美味しかった…幸せ」
「それはよかったです」
豪華なコース料理を最後のデザートまで綺麗に完食し、普通の人ならここで終わるところ。
だけどまだ飲み足りなくてそのままドリンクメニューを眺めるのが私。
いつもなら付き合ってくれる愁も、なぜか今日はメニューを取り上げてきて、首を傾げる。
「もう飲んじゃだめ…?」
「後でいくらでも。…ちょっと外出ません?」
「外?ベランダ?」
「マンションとは景色違いますし。柊花さん見るの好きでしょ?」
「うん!」
愁に手を引かれ、2人でベランダに出る。
ドレス姿のまま暖房が効いている部屋から外に出るとすごく寒かった。でもすぐに愁が私のコートを取ってきてくれて、「ありがとう」とそれを肩に掛ける。
風が吹いて体を震わせると、愁が私の肩を抱いて引き寄せた。だけどその力は、なんだかいつもより遠慮がちで。
……なんか愁、緊張してる?
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