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そこで、「ちょっと待ってて」と部屋の中に戻って行った愁。
その間、私はじっと外の景色を眺めていた。
都内を見渡せる絶景の夜景。ため息が出るほど綺麗で、じっと見入ってしまう。
マンションのベランダで、初めてじっくり夜景を見た時のことを思い出す。
『…もし俺が、人を殺すくらい悪い男だったら、どうします?』
あの時は愁のこと、ヤクザってことは知っていたけど、愁本人のことはあんまり知らなくて。
何考えてるのか分からなかったし、好きになって付き合うまではずっと不安だった。
…まぁ今も、何考えてるか分からない時あるけど。
びっくりするくらい素っ気ない時あるし、基本無気力だけど、エッチの時は意地悪だし、いつも転がされてる気がするけど、でもそれ以上に愛されている自覚もある。
全部が大好き。
自分がこんなに誰かに夢中になるなんて、思いもしなかった。
全てをあげてもいいと思える人に出会えるなんて、それだけで本当に幸せ。
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