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「…本当に、俺でいいんですか?」
「愁こそ、私でいいの…?」
「柊花さんがいいんです」
「私も、そうだよ。当たり前じゃん」
そう言うと愁が照れたように笑う。
そしておもむろにスーツのポケットから小さな箱を取り出した。
「じゃぁこれ、受け取ってくれる?」
パカっと、ドラマでしか見たことないことが目の前で起きている。
この人は、どれだけ私を泣かせば気が済むんだろう。
夢を見ているみたいだ。
大きなダイヤの輝くその指輪は、触るのももったいないくらいで。
涙で前が見えなくてなかなか手に取れない私に、愁が指輪を手に取り、ゆっくりと優しくはめてくれる。
左手の薬指。
そこに輝く愛の結晶に、胸が愛しさでパンパンになって苦しい。涙が止まらない。
「…っ…愁…ありがとう…っ」
嗚咽混じりで必死に伝えると、彼は優しく微笑んで私の目尻にキスをする。
「柊花さん、誕生日おめでとう」
一文字一文字、愛しさを噛み締めるように言葉を紡いでくれた。
ぎゅっと抱きしめられ、熱い吐息が耳に触れる。
「愛してます」
そう囁いてくれた彼に、また涙が溢れた。
何があっても、一生ついて行く。
彼を支え続けたい。
そう心に誓った。
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