5月5日と追想

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5月5日と追想

 朝、目が覚めたとき、世界がすべて変わっていることを祈る。  地球上のどこでも争いは起こっていなくて、飢餓で死んでいく子どもたちも、焼かれていく山や森も、人生に絶望して線路に飛び込む大人も、いない世界。  すべてのひとが、願った幸福を手にして、心のままに、いとしいひとと愛し合える世界。  治らない病を患ったひとも、ままならない障害を抱えたひとも、不幸な現実に嘆き悲しむひともいない、苦しむひとも苦しめられることもなにひとつ存在しない世界。  そんな、絵空事。  
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