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幸か不幸か。
「やっと付き合ったかー!!」
別に隠すことでもないし、飲み会の時に翔也くんにさっそく報告した。この前心配してくれてたしね…
「理希ぃ〜、よかったなぁお前〜」
「まぁ」
「なにスカしてんだよ。この前心折れかけてたくせに」
「言うな」
……心折れかけてたんだ…
申し訳なくなってちらっと理希を見上げると、フンと鼻を鳴らされた。
「で、芽衣ちゃん首のその歯形、どしたの」
「っ」
やばっ、忘れてた…!
バッと首筋のそれを手で隠した。
こっちは冷や汗吹き出そうなのに、当の本人は素知らぬ顔で枝豆をつまんでいる。
この…!
思いっきり噛みやがってぇ…!!
考えなしな行動した私が悪いんだけど……でも加減ってもんがさぁ…
じとーっと理希を睨んでいると察したらしい翔也くんが「あぁはいはいそういうことね」とにやついていた。
そして私と理希が付き合った話は瞬く間に後輩たちにも広まっていき。
「芽衣さん聞きましたよー!!」
「千紗ちゃん…」
「やぁっと理希さんと付き合ったんですねっ」
飲み会も後半になり、みんな席を移動し始めた頃。
にやにやしながら、嬉しそうに肩を叩いてくるパワフルな後輩。
千紗ちゃんって恋多き子だけど、意外にサバサバしてるんだよね…
ちなみに理希は、ちょっと前に少し離れた席に移動している。
「千紗ちゃん理希のこと推してたんじゃないの…?」
「推しは単なる推しですから。でも相手が芽衣さん以外だったらキレてますけどね〜」
「こわ…」
敵に回したらおしまいだこの子…
どうしてか分からないけど私のことは認めてくれているらしい。
「で?」
「で?とは…」
「どっちから好きって言ったんですかぁー?やっぱ理希さん?」
恋バナ大好き♡と両手を合わせて目をキラキラさせている千紗ちゃん。声が大きいものだから、興味津々な周りの視線が私に集まっている。
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