幸か不幸か。

2/14
前へ
/140ページ
次へ
   「え、えっと、」  …私から、なのかな? 理希には「付き合う?」とは言われたけど、好きとは言われてない。 後から私のこと好きってこと?と聞いたら、そうだよと言われただけ。 これってやっぱり、告白したのは私…になるんだろうか… よく分からなくてチラっと理希を見ると、すでに酔ってる翔也くんに絡まれていて目は合わなかった。 「私…だと思う…」  「え、そうなんですかぁー?!なんだぁ、やっぱり好きだったんじゃないですか、もぉ〜」 「い、いや本当に最近気づいたというか…」 「遅すぎますよ、もぉ〜」 もぉ〜と連発する千紗ちゃんは、結構お酒が入ってる様子。 まぁだいたいの人がテストを終えて明日から冬休みだし、今日は忘年会みたいなものだもんね。浮かれちゃうよね。 「ちなみに、どういうところが好きなんですかー?」 「えっ」 「あ、それ私も気になるー」 「私もー。何年も幼馴染みしてて、今付き合うことになった決定打って何なの?」 同期の女の子たちも話に参加して、注目を浴びる。なんだか恥ずかしくなってきて顔が赤くなった。 …理希の好きなところ。  「……私のこと、1番理解してくれるところ…」 大して面白味のない私の返答に、キャーッ!と盛り上がってくれる女子一同。 そんな反応してくれると思わなかった… 「たしかに!めっちゃ大事にされてますよね〜っ。しかもいつも阿吽の呼吸というか。何してほしいかお互い分かってるって感じ」 「そ、そうかな」 「他には?!」 「え、他には…」 理希の様子を窺う。聞かれてたら恥ずかしいけど、こっち見てないし、いっか。 「…なんだかんだ優しいところ」 「分かる!普段素っ気ないけどさ〜理希くんって結局優しいよね。はい、もう一声っ」 「っえ…えと、いつも助けてくれるところ、包容力があるところ、たまに子供みたいに笑うところ、適当で楽なところ」 「めっちゃ出てくる」 あれ、私思ってたより理希の好きなところってたくさんあったんだな。人に聞かれて初めて気が付いた。 「……あと声も好き。黒髪も好き。…顔も好き」 匂いが好き、っていうのはさすがに変態っぽいかと思って言えなかった。 自分で言いながら照れてしまって、さらに真っ赤になった私を見て女の子たちが「全部じゃん〜!」とキャーキャー騒いだ。
/140ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1116人が本棚に入れています
本棚に追加