幸か不幸か。

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酔ってるからって言い過ぎた…ただの惚気じゃん… 少し後悔しながらなんとなく理希の方を見ると、さっきまで翔也くんと話していたのに、頬杖をついて私のことをじーっと見ていた。 「〜〜っ」 えっ…もしかして、聞いてた?! 一気に死ぬほど恥ずかしくなって、穴があったら入りたくなった。 理希の隣でにやにやしている翔也くん。 …嫌な予感。この人酔ったらしつこいほど冷やかしてくるんだよなぁ… 「芽衣ちゃ〜ん、理希のことめっちゃ好きじゃん〜」 「……翔也くんお水飲んだら?」 「話逸らさなくていいって〜」 赤い顔でへらっと笑いながら理希と肩を組む翔也くん。 「今の芽衣ちゃんのお言葉を踏まえてー。理希、お前はどうなん」 「どうって、何が」 「とぼけんなって。芽衣ちゃんのどこが好きなのかに決まってんじゃん」    ───っ  そんな質問に、私の方が赤くなる。 でも、恥ずかしいけど……正直気になる。 理希は一体こんな私のどこが好きなのか。 周りから注目されながら、そわそわしながら理希の返事を待っていると、返ってきたのは至って冷めた言葉だった。 「別に好きなところとかねぇけど」 「……は?いやいやいやあるだろ」 「ない」 ………はい? 私だけじゃなく、みんなも一瞬目が点になった。 だけど他のみんなは照れてるだけとかただのノリだと思ったらしく、「そういうのいいって〜」と理希が軽く飲まされてその場は流れた。 対して私は。 信じられない理希の言葉に、スン、と一気に火照っていた頬の熱が冷めて、腹の底からふつふつと怒りが湧き上がっていた。 …いや、何こいつ。 好きなところないって何? え、私たち付き合ったんだよね? 理希、私のこと好きなんだよね? あんたの口から「好き」って言葉まだ聞いたことないけどさ。 もしかして勘違い? そりゃ、好きなところ聞かれて勝手にベラベラ話したの私だけどさ。 もう少し、1つくらい何かあるんじゃないの? 照れながら話してた私、馬鹿みたいじゃん。 この止まらないもやもやをどこにぶつけたらいいのか分からず、ドン!と空になったビールジョッキをテーブルに叩き付けた。 「生ビールください!!」 もう理希なんか、知らん!! 「……理希…俺が話振っといてあれなんだけどさ…芽衣ちゃんすげぇ怒ってない?」 「荒れてんな」 「荒れてんなって…なんでそんな冷めてんだよ。つーかお前、なんで好きなところないとか言うんだよ…」 「…人前で、んなこと答えるかよ」 「……じゃぁそう言えばいいじゃん…あぁもう俺知らない…」
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