幸か不幸か。

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「さっきの全部取り消し!!理希なんか、すぐ怒るし、口うるさいし、嫌味言うし、全然優しくない!!」 「まぁまぁまぁまぁ。照れてただけだって」 「どうせ何の取り柄もないですよーだ!ふん、もう知らん!!」 「落ち着きなって、芽衣」 奈緒子が宥めてくれるけど、それから荒れ狂ったようにビールを飲んだ私は完全に出来上がっていた。 絶対理希は気付いてるし、全部聞こえてる。 でも別にいいし。 そっちが悪いんだからね!! 好きなところないって何さ!そんなの好きじゃないのと一緒じゃないの?! でもこんなに怒っているのに、どこかで悲しくて、油断するとじわっと涙が出てきそうになる。情緒不安定。 「〜〜っ理希なんか…」 と勢いでまた暴言を言いかけたところで、いつかの言葉を思い出す。 『…お前さ、俺が何言われても傷付かない強靭なやつだと思ってない?』    ぐっと口をつぐんだところで理希を見ると、ヤツは私が何か言おうとしたのを分かっていたかのように、色のない目で私を見ていた。 「〜〜っ」 なによー!! 先に酷いこと言ったのそっちじゃん! 酔って感情の振れ幅がすごいことになってる。 目に涙を溜めながら、またビールジョッキを煽った。
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