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まだ少し笑っているルイさんをちらりと見上げてから、その綺麗な手の平に視線を移す。
手、繋いでもいいかな…
おそるおそる手を伸ばして、その指先に触れようとした時、
「ルイ」
凛とした、綺麗な声が聞こえた。
立ち止まって前を見ると、ネオンの光る妖しいお店の前で背の高いスラっとした女性がこちらを見ている。
胸元がざっくり開いた丈の短いワンピースから伸びる足は細くて長い。
長い髪を綺麗に巻いて、横に流した前髪の隙間から覗く大きな瞳が妖艶に細められると、身震いしそうなほどの色気があった。
グロスの乗った唇はやけにセクシーで、それが嬉しそうに緩められる。
「こんなところで会うなんて、偶然ね」
ふふ、と静かに笑うその人は、なんだか不思議な雰囲気がある。目が合うだけで、ぼーっとしてしまうような。
足を止めたルイさんは一目見て分かるほど顔が強張っていた。その手は微かに震えているように見える。
ーーえ…もしかして…
「……恭子さん…」
消え入りそうな声で呟いたルイさんに、大きく目を見開いた。
その人ーー恭子さんは吸っていた煙草を、近くにいたボーイのような男の人に差し出された携帯灰皿へと入れてこちらに歩いてくる。
さっきはあんなに躊躇っていたのに、自分でも驚くほど瞬時にルイさんの手を握った。
それにピクリと反応したルイさんは我に返ったかのように手を引いて私を自分の背中に隠した。
目の前まで来た恭子さんは長い髪を耳にかけてルイさんの顔を覗き込む。
「あの夜、どうして来てくれなかったの?ずっと待ってたのよ?」
「…行く訳ないじゃないですか」
「あら、寂しいこと言うのね?」
言葉の割に、楽しそうに口端を上げるこの人は何を考えているのか分からなくて…すごく怖い。
「もう俺に、関わらないでください」
「どうして?あんなに私に依存してくれてたじゃない。私の言うことはなんでも聞いてくれた」
「…それは、アンタが…」
「客を取れって言ってるんじゃないのよ?ただ私の相手をしてくれるだけでいいの」
ね?とルイさんの肩をそっと撫でて囁く彼女はおそろしいほどの色気を放っている。
ビク、と体を震わせたルイさんに耐えきれなくなって。
「っ」
2人の間に体ごと割り込んだ。
両手を広げて、その人の前に立ちはだかる。
後ろでルイさんが驚いたように息を呑んだ。

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