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結局ゲームは3回やって3回とも私のボロ負けで、私が結の家にあったワインを飲んだ。
「いっつもそんなに飲むなって言うくせに…」
「飲まなくてもいいって言ったじゃん」
「だって…」
「まぁ今日は俺しかいないからいいけど」
「なに、それ」
どういう意味で言ってるの?
そう思うけど、もう思考が回らなくなってきて、あんまり考えられなくなってくる。
もうテレビ画面のどこを見ているのかも分からない。
「どこ蹴ってんだよ」
「ボールが3つに見える…」
「相当酔ってんな」
「もうだめ!試合終了!」
私がコントローラーを転がして、ソファにもたれると、結が笑いながらコップに注いであったワインを全部飲んだ。
余裕そうに見える結だけど、少しだけ目がトロンとしていて、酔っているようだった。顔が少し赤くなっていて可愛い。
私がぼーっとしていると、ゲームを切って、録画していた映画を適当に流した結が私の顔を覗き込む。
「眠いの?」
「ちょっとだけ…」
「寝ていいよ。明日車で送る」
そう言って結が私の額を手の甲で撫でる。火照った顔にひんやりした手が気持ち良くて思わず目を閉じた。
その瞬間、ちゅっと額に柔らかい感触が触れた。
「はぁ…可愛い」
「え…?」
「なんでもない。ベッド行きな」
結に誘導されて、ベッドの上に寝転がる。
リモコンで結が電気を消して部屋が真っ暗になったかと思ったら、パチっと枕元の間接照明を点けてくれた。
私が間接照明の方を見ていると、結が首を傾げる。
「寝る時真っ暗なの嫌じゃなかった?」
「…う、ん」
当たり前のようにそう言われて、驚いた。
…そんなこと、覚えてくれてるんだ。
また胸がきゅぅっと締め付けられて、もうこれ以上ときめかせないでと心が言ってる。
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