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まだ寝たくないのに、この時間がずっと続いて欲しいのに、薄暗い部屋にふかふかのベッド、加えて近くに結がいると思うとすごく心地よくて、すぐうとうとしてきてしまう。
アルコールが回って重たい上体を起こして、ベッドに座って映画を見ている結に寄りかかった。
それに気がついた結が持っていた缶ビールをテーブルに置いて、テレビを消す。
「…甘えてんの?」
結が優しく呟いて私の肩に触れる。
顔を上げると気持ちがバレそうで、頬を結にくっつけたまま、黙って服をぎゅっと握った。
「ゆい」
好き。って、言いそうになる。言わないけど。
一緒にいられなくなるくらいなら、幼馴染みのままでいい。
それに10年以上好きとか知られたら、重すぎて引かれそうだし…
「…そんな風に呼ばれたら我慢できないんだけど…」
結が私の頭の上で小さい声で何か言ったけど、
聞き取れなかった。
ポンポンと優しく頭を撫でられる。
結がふいに私の手を握ってきて、心臓がドキドキ暴れ出す。大きくて、すごく優しい手。
「たまにこうやって寝てたよな」
「…いつの話?」
「小学生くらい?椎名が眠れないからって、翠と2人でベランダ乗り越えて俺の部屋来てたじゃん」
「…そういえばあったかも」
危ないからベランダから来るなってよく結に怒られてた。でもいつも結の部屋の窓は鍵が開いてて。
「お前らがベッド入ってきたら俺狭くて寝れなかったし」
「えー」
ふふっと私が笑うと、結がぎゅっと手を握ってベッドに寝転がった。
それに引っ張られるようにして、結と向かい合うように私もベッドに横になる。
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