ずっとこのまま

7/8
前へ
/53ページ
次へ
まだ寝たくないのに、この時間がずっと続いて欲しいのに、薄暗い部屋にふかふかのベッド、加えて近くに結がいると思うとすごく心地よくて、すぐうとうとしてきてしまう。 アルコールが回って重たい上体を起こして、ベッドに座って映画を見ている結に寄りかかった。 それに気がついた結が持っていた缶ビールをテーブルに置いて、テレビを消す。 「…甘えてんの?」 結が優しく呟いて私の肩に触れる。 顔を上げると気持ちがバレそうで、頬を結にくっつけたまま、黙って服をぎゅっと握った。 「ゆい」 好き。って、言いそうになる。言わないけど。 一緒にいられなくなるくらいなら、幼馴染みのままでいい。 それに10年以上好きとか知られたら、重すぎて引かれそうだし… 「…そんな風に呼ばれたら我慢できないんだけど…」 結が私の頭の上で小さい声で何か言ったけど、 聞き取れなかった。 ポンポンと優しく頭を撫でられる。 結がふいに私の手を握ってきて、心臓がドキドキ暴れ出す。大きくて、すごく優しい手。 「たまにこうやって寝てたよな」 「…いつの話?」  「小学生くらい?椎名が眠れないからって、翠と2人でベランダ乗り越えて俺の部屋来てたじゃん」 「…そういえばあったかも」 危ないからベランダから来るなってよく結に怒られてた。でもいつも結の部屋の窓は鍵が開いてて。 「お前らがベッド入ってきたら俺狭くて寝れなかったし」 「えー」 ふふっと私が笑うと、結がぎゅっと手を握ってベッドに寝転がった。 それに引っ張られるようにして、結と向かい合うように私もベッドに横になる。
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2246人が本棚に入れています
本棚に追加