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「まぁ今は2人だけど」
改めてそんなことを言われると、また心臓が飛び出るほどドキドキしてくる。
間接照明だけが点いた部屋の中、結が真っ直ぐ私を見ていて、私もその目を見つめ返した。
…大丈夫かな。私顔に、好きって書いてない?
そんな私に、結が静かに問いかけてくる。
「翠と離れて寂しい?」
「…うん…」
翠ちゃんには言わないけど、本当は凄く寂しい。生まれてから、こんなに離れて過ごしたことはなかった。
嬉しい時も、楽しい時も、悲しい時も、寂しい時も、いつも傍には翠ちゃんがいて、大丈夫だよって笑ってくれて、自分がどんなに守られていたか知る。
でも翠ちゃんは葉月さんと一緒で、幸せそうだから、いいの。翠ちゃんが幸せなら、私も幸せ。
「そっか」
結が私の頭を自分の胸元に引き寄せて、優しく呟く。
「…俺は、ずっといるよ」
その言葉に、また息ができなくなるくらい胸が締め付けられた。好きすぎて、苦しい。
…それは、幼馴染みだから、だよね?
分かってる。勘違いしてない。
もう傷つかないために、予防線を張るのに必死だった。
私を安心させるためにそう言ってくれているだけ。結に彼女ができるまでの話。
ずっとじゃなくても、気持ちを伝えなければ、結にはこれからも会える。
でも今はどうしても結に触れたくて、お酒の力を借りて、ぎゅっとその背中に抱きついた。
結は少し驚いていたようだったけど、優しく私の頭を撫でてくれた。
私をあやすように触れるだけ。抱きしめ返してはくれない。
でもそれでも、いいの。
ずっと近くにいられるなら。
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