分からない

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葉月さんに車で駅まで送ってもらって、電車に乗って待ち合わせ場所まで行った。 まだ15分前なのにすでにそこには結がいた。待ち合わせするといつも結は私より早く来てる。 前に私が先に来てて、待ってる間に知らない男の人に声をかけられたことがあって、それ以来結が私より遅く来ることはなくなった。 紺色の浴衣を着て、屋台の方へ流れていく人を眺めて立っている結。背が高くてスラっとしてるから、本当によく似合ってる。  女の子のグループが通りがかるとだいたい結のことを見て、きゃーきゃー騒いでいた。そうだよね、だってかっこ良すぎだもん。     私今日この人の横を歩くのか…大丈夫かな… 自分から誘っておいて早くも挫折しそうになっていると、結が私に気がついて、目を見開いていた。 目の前まで来た私を大きな目でまじまじと見てくる。 「結、浴衣着てくれたんだね」 「椎名が着て来てって言ったんだろ。持ってないからネットで即日発送したわ」 「へへ、ありがとう」 顔を綻ばせて結を見上げると、目を逸らされた。 不思議に思って顔を覗き込むと、若干顔が赤い。 「それ、翠に着せてもらったの?」 「浴衣?そーだよ」 「すげー似合ってる」 照れたようにそう言われて、私も顔が赤くなるのが分かった。 そんな私の手を引いて、結が屋台の方へ歩き出す。 自然に繋がれた手に、ドキドキと心臓が高鳴った。 「最初はイカ焼きだろ?」 「うん、でもとりあえずお面買わない?」 「なんでだよ、いらねーわ」 結が振り返って楽しそうに笑って、胸が締め付けられる。 やばい、今日、心臓持つかなぁ。
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