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気持ちに鍵を
幼稚園か、小学校か、分からないくらい前から、幼馴染みの結のことが好きだった。
年が一つ上の結はいつも余裕があって、かっこよくて、優しくて、勉強も運動もできて、私にとって本当に王子様みたいだった。
そんな結がモテない訳がなく、いつも傍には可愛い女の子がいた。
その頃の私は自分に自信がなくて。双子の姉の翠ちゃんみたいに何でもできる訳でもなく、鈍臭くて、いつも結と翠ちゃんの後ろを追いかけていた。
そんな私を、いつも2人は振り返って優しくしてくれた。
でも、中学に上がると、なんだか結がだんだんよそよそしくなっていった。
そして偶然、結が取り巻きの可愛い女の子と話しているところを聞いてしまった。
「結、一個下の椎名って子とどういう関係なの?」
「別に、ただの幼馴染み」
「なんだ。じゃぁ私と付き合ってよ、だめ?」
「…いいけど」
それを聞いて胸が張り裂けそうなくらい、痛かった。
その時に、この想いは胸に仕舞っておかないといけないんだと理解した。
結は優しいから、幼馴染みで鈍臭い私を放っておけなかっただけで、別にそれ以上の感情がある訳ではない。
私なんかが、好きだと思っていい人じゃないんだ。
そう思って、私はこの気持ちに鍵をかけた。
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