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自然に手を繋がれていて、ドキドキが収まらない。
その足は結のアパートに向かっていて、ついさっきの人たちとの会話を思い出す。
「私、結んち行ってもいいの?」
「は?なんで?」
「みんな行ったことない感じだったから…。家に人呼ぶの好きじゃないのかなって」
「椎名はいいよ」
さらっとそんなことを言われて、一気に頬が熱くなる。
それって、どういうこと?
勘違いしそうになる。
「翠と何回か来たことあるだろ。今更じゃん」
だけどそう続けられた言葉に、ひどく納得した。
やっぱり、幼馴染みだから。だよね。
でもそれでもいいや。特別ってことに変わりはないもん。
部屋の前に着いて、結が鍵を開けて中に入れてくれる。
相変わらず物が少なくて、すごく片付いてる。
結が鍵を閉めて中に入って来た。
「適当に座って」
そう言われて、ドキドキしながらソファに座ると、結も自然に私の隣に腰を下ろした。
2人きりだと実感すると、なんだか緊張してきて、それを隠すように、コンビニの袋を漁ってお酒を取り出す。
「ウイイレしよぉ」
「家来て開口一番それ言う女子なかなかいねーぞ」
「ここにいます」
「負けたら飲むならいいよ」
「え、潰す気…?」
「賭けたほうが面白いじゃん」
結が悪戯に笑いながらコントローラーを私に渡した。
ゲームを起動している間に乾杯をする。缶ビールをゴクゴク飲む結の喉仏が動いていて、男らしくてつい見てしまう。
少し動くと体が触れるくらいの距離にいて、幼馴染みで何年も一緒にいるのに、すごくドキドキした。
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