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「いやいや、ジェイドばあちゃん、俺たちは町の歴史や、天使様について正しく学ぶ場を提供したいんだ。
それこそ今は世界遺産だからってだけで、教会の外観や町の雰囲気を楽しむ人も多いけどさ、この町の魅力は天使様というもっと深いところにある。それをぜひ色んな人に知ってもらいたいんだ。
教会群は観光客が最初に訪れる場所だからさ、うちから発信することは大きな意味があるんだよ」
サファイアが真剣に祖母に訴える様子から、彼の本気度が伝わってきた。
祖母も何か動かされるものがあったのか、ふんと息を吐いたが次の言葉は否定的ではない。
「……それだけ本気じゃーつうことは、しっかりやりきって成功させい。天使様も守ってくださることじゃろう」
「……ああ! ありがとう! 頑張るよ!」
祖母はめったに褒めることをしない。サファイアもそれを分かっているからか、その言葉が本当に嬉しかったみたいだ。
くるっと私に向けた顔も、最高の笑顔だ。
「アンバーも、絶対来てくれよな!」
「う、うん……」
サファイアの勢いに押されて頷いちゃったけど、正直、私自身はあまり天使様への信仰心は強くない。だからいつもおばあちゃんに怒られるんだけど。
「ううむ……成功すれば、町全体の定期的な祭りにすればよいじゃろう。町の財源ももっと増えるじゃろうしな」
「おっ、いいね! その時はアンバーの宿も力になってくれよ」
「えっ、ええ~!? 今より忙しくなったら嫌だよ~」
「アンバー、しゃんとせい!」
も~おばあちゃんも、年の割に変化に柔軟と言えば聞こえがいいんだろうけど、思い付きでなんでも言うからなぁ~
振り回されるこっちの身にもなってほしい……
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