新たな神話の予感

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 今日は大教会の扉が解放されている。普段、一般の出入りは左右の入口からで、メインの扉は特別な時だけ開かれる。  扉が開かれた大教会は遠くから見ても本当に絵になっていた。  少し日も傾いてきたからか、ほんのり赤みを帯びた光が教会を照らしている。  きれい。  天使様に興味がなくても、この教会群を見に来たいっていう観光客の気持ちが分かる気がした。  教会の中では、サファイアが中心となって展示の説明をしていた。  大教会では天使信仰の由来(あの昔話)や教会の活動、天使様にまつわる装飾品や絵画の説明がされているみたい。  私と祖母も、観光客にまじって説明を聞いた。 「――……教会では日々、天使様へ祈りを捧げ……――」  私は幼馴染の説明する様子をぼんやりと眺めた。  サフ、頑張ってるなぁ。 *** 「アンバー、ジェイドばあちゃん。来てくれたんだな」  休憩のタイミングでサファイアが話しかけてきた。  私が渡した飲み物を、彼は「サンキュ」と言っていっきに飲み干すと、やっと一息つけたみたいで気の抜けた笑顔を見せる。 「ふ~朝からずっと喋りっぱなしで!」  うーん、私も朝から働きづめだったけど、一息ついた時にこんなに活き活きしてなかった気がする。  私とサファイアの労働に対する態度の違いを思ってか、祖母はにやっと笑っていた。 「サフ、お疲れ様。すごいね、説明も分かりやすかった」 「甘い。あれじゃあまだまだ天使様の素晴らしさが伝わりきらん。もっと精進(しょうじん)せい」 「はは……ばあちゃんは相変わらず厳しいな~」
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