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第5話 現代編 芽衣の合コン1
「楽になりましたか?」
芽衣はヴィーナス俱楽部で働く、ホテヘル嬢のミユキの身体のケアを終えて尋ねた。
ミユキは非常にリラックスした様子で、「うん……芽衣ちゃんありがとう。こうやって芽衣ちゃんにケアされると、本当に身体が楽になるし、正直なところ生理痛もすごく楽になるのよ」と答えた。
「そうですか。良かったです。次は2週間後になりますけど、何か不調があったら言って下さいね」
芽衣は微笑んだ。ミユキは服を着て御礼を言うと、ホテヘル店ヴィーナス俱楽部を後にした。
午前2時なので終電はないため、ミユキはスクーターで帰っていった。
春田芽衣は、濃い茶色のナチュラルボブの髪型と、二重の魅惑的な目をした、21歳の女性である。2028年の7月8日の誕生日を迎えると22歳になる。
芽衣は人間ではなく、リターナーという存在である。
20歳未満の少年少女たちが非業の最期を遂げた時に、素質がある者は、リターナーとして蘇る。
芽衣がリターナーとして蘇ったのは、売春をしていた母の客の男に、住んでいたアパートを燃やされて焼死した時だった。
それから芽衣は、ヴィーナス俱楽部を経営する藤原社長に拾われ、ここで住みながら、風俗嬢の性病のケアと、看護専門学校への通学をしている。
リターナーの中には『異能力』という能力を持つ者がおり、芽衣は『再生掌』という異能力を持っている。
この『再生掌』は、手で触れた相手の傷の回復力を上げるものだったが、近年になり能力が向上した事で、傷の再生能力が高まった。
またこの『再生掌』は有害な毒やウイルスを体外に排出する力もあり、この力も長期的に作用する様、進化した。
4年前の2024年では、風俗嬢を性病から保護するために、ほとんど毎日芽衣は仕事として、仕事の終わったホテヘル嬢のケアを『再生掌』でしていたが、今は2週間に1度行う事で、効果が持続するようになった。
最近風俗嬢からよく言われるのは、芽衣のマッサージのケアを受けてから「生理痛の痛みが軽くなった」ということだった。
芽衣自身は初潮を迎える前に焼死し、リターナーは生理がないため、生理痛の苦しみや痛みは分からなかったが、女性にとっては個人差はあるが苦しいものであると知ったため、『再生掌』の思わぬ効果として、役立っているのは芽衣にとっても嬉しかった。
リターナーは、その存在を人間にばれないようにしなくてはならないので、ヴィーナス俱楽部の風俗嬢達には、「東洋医学を応用したマッサージ」と説明している。
リターナーは外見上、20歳までは加齢するが、それ以上は加齢をしない。
もしリターナーの存在が人間にばれた場合、不老不死を求める人間達によって、リターナー達が人体実験の対象となり、下手をすればリターナーと人間の間に深刻な亀裂が出来、戦争に発展することもありえる。
そのように芽衣は藤原社長から教わって来た。
(無理も無いよね……)
芽衣にしてみれば、自分が火事で死んだ原因を作ったのも人間の男性であり、人間の欲望や無責任さには限度がないと、諦めのような気持ちがある。
(でも私は、私)
腐ってばかりはいられないと考えた芽衣は、自分の生きていく道を決めたのだった。
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