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5
8月。夏休みに入った。
ーーピンポーン。
家のインターホンを鳴らす。
ーーガチャ。
玄関の鍵が開いた。
私はドアノブに手を掛け、自分の方に引いた。「ただいま〜」と笑顔で言いながら。
お母さんから「おかえり」の声が返ってくる。
久しぶりの実家で料理をしてみせる私を見て、「こんなに上達するものなのね」とお母さんがお父さんに向かって言っているのが聞こえた。
料理の腕がここまで上達したのは、あの不思議な現象のおかげだろう。
私だけでは、料理をするようになっていたかどうかさえあやしい。
だが、私はそれを家族には言わなかった。
2ヶ月間の不思議な出来事は、私だけの秘密である。
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