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自分の部屋の前で鍵を取り出し、玄関のドアを開ける。
「ただいま〜」
実家のことを思い返していたからか、普段は言わない「ただいま」を声に出していた。
いつも通り、電気をつけるために壁に手を伸ばそうとして気づく。
「えっ……⁉︎」
誰もいないはずの部屋には明かりがついていた。
ーー昨日の夜、寝る前に消した照明は、今朝家を出る前にはつけていないはずなのに。
照明がついているだけならいい。それだけならば、自分の勘違いとして片付けることができた。しかし、部屋の中からは美味しそうな匂いまで漂ってきていた。
お母さんが来ている?
いや、そんなはずはない。それなら、きっと連絡が入ってるはずだし、そもそも部屋の鍵を渡してもいない。
じゃあ、誰が……
ーー意を決して、キッチンを通って部屋に続くドアを開ける。
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