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 ある日、「ただいま。」と言って部屋の中に入ると、机の上に料理はなかった。  代わりに、オムライスのレシピと食材が置いてあった。  いつまでも甘えさせてはくれないらしい。    慣れない包丁を使って食材を切り、フライパンで具材を炒め、レシピ通りに調理を進めた。  完璧とは言い難い出来だったが、何とか形にはなった。  オムライスを口に運ぶ。見た目は良くないし、焦げて少し苦い部分もあったが、自分で作ったという達成感からか美味しく感じた。  その日以降、出来上がった料理ではなく、レシピと食材が用意されるようになった。  レシピは日を重ねるごとに難易度の高いものになっていく。  私は苦戦しながらも、それらのレシピにチャレンジし、徐々に料理の腕をあげた。  
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