Episode1

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「可愛いなんて、言われたことありません」 「この眼鏡とったら?可愛い顔隠れてるから」 そう言いながら、メガネの縁に触れられて、顔をじーっと見られる。 距離が近いからか、先輩の顔が裸眼でもハッキリ見えた。 ─────ほら、可愛いじゃん。 少し微笑む先輩に、私は真顔で見つめ返した。 イケメンに目がない私だけど、お酒を飲んだ私はすごい冷静で、この顔で何人落としてきたんだろうななんて考える。 私が関わっちゃいけないタイプだって分かってた。 可愛いとか、そんなん夢見ちゃいけない。 「…酔ってます?」 「どうかな、花梨ちゃんほどじゃないと思うけど」 笑う先輩から顔を逸らして、水を奪い取り飲む。 「帰ります。」 席を立つとふらっとして、先輩に支えられた。 「もう、急に立つから。」 そこからのことは、冷静な私。なんてとっくに居なかった。
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