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「可愛いなんて、言われたことありません」
「この眼鏡とったら?可愛い顔隠れてるから」
そう言いながら、メガネの縁に触れられて、顔をじーっと見られる。
距離が近いからか、先輩の顔が裸眼でもハッキリ見えた。
─────ほら、可愛いじゃん。
少し微笑む先輩に、私は真顔で見つめ返した。
イケメンに目がない私だけど、お酒を飲んだ私はすごい冷静で、この顔で何人落としてきたんだろうななんて考える。
私が関わっちゃいけないタイプだって分かってた。
可愛いとか、そんなん夢見ちゃいけない。
「…酔ってます?」
「どうかな、花梨ちゃんほどじゃないと思うけど」
笑う先輩から顔を逸らして、水を奪い取り飲む。
「帰ります。」
席を立つとふらっとして、先輩に支えられた。
「もう、急に立つから。」
そこからのことは、冷静な私。なんてとっくに居なかった。
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