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私よりも 背が高くて大きくて 羨ましいと思ったことはあるけど 黒金さんのことを怖いなんて思ったことは一度もなくて 「怖いって言われるんですか?」 「高確率でな」 「……だとしても、私は怖いだなんて思いません。黒金さんは、優しい人ですし」 「優しい?俺が?」 「だって、終業時間過ぎてるのに、こうして私のこと助けてくれてる黒金さんは間違いなく優しい人です」 どこか 切なげな表情を浮かべる 黒金さんに私が今できる 精いっぱいの笑顔を向けながらそう言った。 仕事じゃないんだし 知らないと一蹴してもいいのに こうやって 面倒事を 文句ひとつ言わずにしてくれる 黒金さんはたとえ周りが なんと言おうと私は優しい人だって思う。 .
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