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真弥ちゃんとは、四年生になる前の春休みに仲良くなった。
三年生から同じクラスだったけど、それまではそんなに仲良しというわけではなかった。
わたしは一年生の時から仲良しの愛波ちゃんと、いつも二人でいたから。
だから、春休みに図書館で話しかけられた時は驚いた。
「さおりちゃん! 本読むの好きなの? どんな本が好き?」
真弥ちゃんもわたしも、本を読むのが大好きだけど、好きな本は全然違った。
真弥ちゃんはタイトルに探偵や事件、謎って入っている本が好き。
「真実と正義を求める探偵になる!」が真弥ちゃんの口ぐせ。
わたしはタイトルに魔法とか、動物や女の子の名前が入っている本が好き。
一緒に図書館へ行って、全然違う本を借りて、読んだらお互いに内容を教え合う。
今ではそれが、わたしたちのお気に入りの遊びになった。
春休み明け、愛波ちゃんのそばにはいつも詩麻子ちゃんがいるようになった。
これまで詩麻子ちゃんと一緒だった多実ちゃんは、春休みに引っ越してしまっていた。
詩麻子ちゃんはトイレや教室移動の時に「二人で行こう」と愛波ちゃんだけを誘った。
愛波ちゃんはいつも「さおりも一緒に三人で行こう」と言ってくれたけど、わたしは二人といるのがつらくなっていった。
だから、真弥ちゃんが話しかけてくれると嬉しかった。
真弥ちゃんといると楽しくて、真弥ちゃんと二人でいることが増えていった。
でも、愛波ちゃんはわたしが真弥ちゃんと仲良くすることを嫌がった。
「何で愛波より真弥と仲良くするの? さおりは愛波の親友でしょ!」
愛波ちゃんにそう言われる度、わたしは何も言えない。
ケンカになるのが怖いから、何も言わない。
真弥ちゃんはわたしと違って、いつも思ったことをはっきりと言う。
真弥ちゃんは、明るくて素直で強い女の子。本の中の主人公みたいに。
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