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二時間目が終わって二十分休みが始まった。
「はい、これ。助手だから聞き込み内容をメモしてね」
「うん……」
真弥ちゃんからノートを受け取る。
悪口が書いてあるノートだ。
「聞き込みって、どうするの?」
「怪しい人物に昨日の放課後のアリバイを聞くの! このノート、昨日机の中に入れて帰ったのに、今日来たら落書きされた状態で机の上に置いてあったから、犯行は昨日の放課後だと思うんだ」
「そっか……」
早く登校すれば、朝でも犯行は可能だと思ったけど黙っていた。
「じゃあ、まずは浦末だ!」
「浦末君?」
「この『ゴリラみたいな強さ』だけど、浦末、あたしのことゴリラって呼ぶから」
「……」
「教室にはいないね。校庭に出ちゃったかなあ」
浦末君を探しに、二人で教室を出た。
「あれ? 浦末の靴ある」
下駄箱で靴を確認すると、浦末君は外には出ていないようだ。
仕方がないので戻ろうと、廊下へ出た時。
「浦末君?」
廊下の突き当りを曲がる浦末君が見えた。
「あっち図工室とかがある方だよね?」
真弥ちゃんが不思議そうに言う。
そこは、少し暗くて寂しい感じのところで、休み時間に行きたい場所じゃない。
「行ってみよう!」
「うん」
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