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「──そうだよ」
肩に置かれた手に力がこもる。そのままぐ、引き離された体に、総輔の顔が間近に寄った。
「……?」
不思議な瞳だった。見たこともないくらい輝いているのに、どこか暗い。焦点が合っているのか曖昧な眼差しにぞっとする鳥肌はいつだって正直だ。
掴んだ肩を前後にがくがくと揺らす総輔。その力強さに恐怖心が芽生えるけれど、私は目の前の彼に釘付けのまま。
「戻ろう、戻れるよ。六花がもう一度俺を好きになればいいじゃん」
「…だから、それは…」
「無理じゃない、できるよ、ね? もう少しだけ頑張ろ?」
咄嗟に上がった口角で総輔の手首を握る。
何? 怖い……。
肩を揺らしていた手が、気付けば首元を握っていた。大きな両手は私の首をゆっくりゆっくり締めつけていく。
「…っ、く」
苦しい、なんなの、殺されるの? 私、ここで。
体はベッドからすべり落ち、カーペットの上に転がった。総輔はそんな私に馬乗りになりながら、より一層力を込める。そうしてさらに、頭を床に打ちつけた。
「あの頃の六花に戻って…戻れ、俺もこんなことしたくないよ、早く…今の六花は消えて」
ガン、ガンとカーペット越しにぶつかる床。
何度も何度も繰り返し揺する総輔はもはや壊れている。
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