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「私も、一方的にお別れしちゃってごめんね。総輔のおかげで今があると思ってるから…本当に感謝してる」  代わりに私は彼の目線より下になるよう屈んでみせる。そうすることで頭を下げた状態の総輔と目が合って、素直な本音を伝えることができた。 「あの時はありがとう。冬華のこと、よろしくね」  ゆっくり顔を上げた穏やかな表情に落ち着いて話すことができて良かった。あの頃伝えきれなかった感謝の言葉を受け取った総輔は、また頬に小さな窪みを作る。 「…うん、わかった。お姉さん、これからよろしくお願いします」 「…なんかまたちょっと馬鹿にしてる」 「うん、してる」  ちょっとね。そう言いながら指で僅かな隙間を作り自身の顔の前に掲げたら、笑う。  子供っぽい笑顔につられた私が「もう、最低」と怒ったフリをすれば「すみませんでした、お姉さん」と無邪気な顔。  ひとしきり笑った後で、そういえば、と切り出したのは総輔だった。 「俺のLINE、ブロックしてるでしょ。これを機に解除してよ」 「ああ…ブロックしてたっけ? 覚えてないや」 「してるしてる。ほら、もし冬華がスマホ無くして連絡とれない〜って時とか俺ら繋がってると便利じゃん?」 「何、その稀なケース」  そんな場面、何年かに1回くらいしかなさそうだけど。なんて首を傾げる私に「いや例え話だよ」とツッコんだら続ける。 「要は緊急連絡先だよ。今のご時世、何があるかわかんないからさ」
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