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「……」  冬華は本当に総輔のことが好きなんだと思った。  愛情のバランスはカップルそれぞれにあるが、目に見える度合いだけで言えば冬華の方がだいぶ多いように感じる。  まあずっと好きだった相手だし、告白したのも冬華だから当たり前と言えばそうなんだけど。 「そろそろお暇しますね。長く居座ってしまってすみませんでした」  自身のスマホで時間を確認した総輔が切り出したのは、それから数十分後のこと。冬華も気持ちを持ち直し盛り上がっていた矢先のことだったので、「えぇ〜」と残念そうな項垂れ方をして見せる。 「まだ全然話し足りないよ、夕飯も食べていけばいいのに」 「そんな、悪いよ。お姉さんに気を遣わせるのも申し訳ないから、今日のところは帰るね」 「そっかぁ…うん、わかった。駅まで送る」  がたん。名残惜しそうに立ち上がった冬華が掛けてあった2人分のコートを持ってくる。  仲睦まじくコートを羽織る2人を玄関先まで見送ると、ブーツを履き終えた総輔が振り返り口を開く。 「六花さん、今日はありがとうございました。お会いできて良かった」  余裕のある笑みで告げる彼がいる。 「またいつでもどうぞ」なんて社交辞令を吐いた私のそばで、冬華がぽつり、呟いた。 「私……そうちゃんにお姉ちゃんの名前教えたっけ?」
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