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「そ、それはちょっと、どうだろう…」 『お願い、ネカフェも近くのホテルも埋まってて入れないの、もうそれくらいしかなくて…』 「んー…でも……」  女2人の生活空間に男が泊まる?  …はいどうぞ、なんてすぐに快く承諾できるものではない。 「(…うーん……)」  布団だって、来客用は用意がない。  ソファーで寝てもらう? …仮にもお客様である総輔にそんな、天国の両親に叱られてしまいそうだ。  あれこれと思考を巡らす私の耳元で『お姉ちゃん〜…』と困り果てた冬華の声がする。  それでもやっぱり返答に迷っていれば今度は『ちょっとそうちゃんにかわるね』と言い出して、咄嗟に制止する私の言葉も虚しく数秒後には『もしもし』と総輔の声。 「(総輔と話してどうしろと……)」  正直、困っている張本人を出されてしまえば断るのがさらに難しくなる。それが冬華の作戦であるなら大成功だが、私は溜め息が出る。 「…もしもし」  それでも仕方がない、憂鬱な気持ちをできるだけ隠した低音を捻り出せば、総輔が浅く笑う声がした。 『六花? 急にごめんね』 「……冬華は? 近くにいないの」 『うん…自販機に飲み物買いに行った』
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