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「お姉さんとは、何歳離れているんだっけ?」  は、と我に返る。  ティーカップを音も立てずに置いた総輔が隣の冬華に聞いたのは、私たちの間柄では到底聞く必要のない疑問。 「5歳だよ。そうちゃんと同じ。2人はタメだねって、前に盛り上がったじゃん」  冬華は総輔を"そうちゃん"と呼んだ。 「そっか、そうだったね」なんて浅い返事すら白々しく見えてしまうのは私だけなのか。  冬華は特に気にした様子もなく「あれ」と首を傾げ続ける。 「大学も同じじゃなかったっけ? 花大だよね」  私と総輔を交互に見合わせた後、「ね、そうだよね」と。私は反射的に2度3度と頷くが、「あー…うん、そう」と何故か素っ気なく答えた彼に他人としての一線を感じ取る。 「世間って狭いんだね。友達とか繋がってる人もいそうじゃない? 2人が知らないだけでさ」  間を埋めるため一生懸命会話を紡ぐ冬華には申し訳ないが正直、この手の無邪気な話題が1番居心地が悪かった。ただ私が黙り込む一方で、再び紅茶を啜った総輔が何事もなかったかのように上部だけの作り笑顔。 「もしかしたらお姉さんとは、どこかですれ違っていたかもしれませんね」  薄めた瞼から覗く焦茶色の瞳。へらりと曲げた愛想笑いを見て私は確信する。総輔は私のことなど覚えていないのだ。
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