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時間の経過を感じさせない部屋。私が置いてきた欠片に縋って生きている総輔にはきっと伝わらないし、わからない。私たちは分かり合えない。
自分の中の不純物を丁寧に掬い出していく。私が本当の意味で冬華を想うなら、必要なのは何かを身代わりにした偽物の愛ではなかった。
「私…総輔に抱かれた帰り、1人で泣いてた。それを見つけて声を掛けてくれたのが七瀬だったの」
私の上で黙って話を聞いている総輔の腕を軽く促せば、何も言わずともシーツの上に腰を下ろした。窓に背を向け頭を下げたままのシルエットを横目に、上半身を起こす。
「総輔はどう? あの日、私を抱いて何か満たされた?」
顔を見れば、答えは自ずと見えてくる。私を好きだと言う割りにいつも、彼の笑顔は泣きそうだった。
このまま関係を続けても、冬華の不幸を先延ばしにしているだけ。むしろ私と総輔の繋がりがバレてしまえば、あの時よりもっと大変なことになる。
「終わりにしようよ……総輔も、終わらせて。私たちもう十分頑張ったでしょ」
ベッドから足を下ろし端に座る形で問いかければ、背後から聞こえてくる声は「嫌だ」と呟く。
「なんでそんなこと言うの、六花…好きだからどんな手を使ってでもそばにいたいだけなのにどうしていつも離れていくの」
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