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 ──総輔が選ぶ言葉、溢れる感情も全て、ここで受け止めよう。そう思った。  吐き出さないと膿が溜まる。その膿がまた、未練になって総輔を蝕んでいく。  彼の背中に手をまわし、宥めるように撫でる。そんな私を抱きしめた総輔はまるで小さな子供みたい。 「俺、ちゃんと冬華の彼氏になったでしょ…」 「ん…そうだね」 「それでもだめなの? もう戻れないの?」 「うん、……ごめん」  もう一度、ごめんねと付け足した。  そっと呟いた台詞に、総輔の溢した涙がシーツを濡らすのを見た。こんなに歪な私たちを月だけが静かに寄り添っている。  総輔はそのまましばらく私を抱きしめ続けた。途中には縋るように「冬華と別れるよ」と言葉を吐くも、頷き変わらず背中を摩れば黙ってしまう。 「(私だって総輔のこと、本当に好きだったよ)」  それだけは絶対に口にしないと、心に決めていた。そんな後ろ髪を引かれるような言葉はなくていい。ただ私は、ひたすらに祈っていた。  あの頃に置き去りにしてごめん、冬華の幸せのために総輔の気持ちを利用してごめん。  たくさんの後悔と懺悔の後で、残された最後は総輔にあげる。 「……あの頃の私に戻れなくて、ごめんね」  幸せだったけれど、あの幸せはもう過ぎたもの。私が彼の髪の毛を撫でるみたいに包む時、ぴくりと反応を示した総輔は言う。
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