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「なるほど。つまり男の方は、友は友でもセフレになるつもりだったということか」
「セッ……」
ぼわっと顔が発火したように熱くなった。まさか、こんな上品で眉目秀麗な男性の口から、まさかそんな単語が出てくるなんて……。
「ああ、ごめん。今のはセクハラだったな」
「い、いえ……」
居たたまれない気持ちになりながら、赤い顔を隠すように下を向く。
「きみが気に病むことはなにもない。悪いのそいつの方だ。よほどきみのことを落とせる自信があったんだろう。けれど思うようにいかず、しびれを切らして暴挙に出た――というところかな」
東雲さんの推測が当たっているのかどうかすらわからない。わかるのは、自分がだれもすきになることのできない欠陥人間だということだけだ。
「だとしても、二十六にもなってだれひとり好きになったことがないなんて、きっと私くらいでしょうね」
「そんなことはないさ。僕だってもうずいぶん長いこと恋愛なんてしていないからね」
そんなことあるわけがない。人気俳優に引けを取らないくらい魅力的な容姿を持った彼を、周囲の女性達が放っておくとは思えない。
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