ホテル

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話し掛けた?いつ? え、待って。初対面じゃないの? 誰?この子。 「……ごめん。いつ会ったっけ?」 「ほぼ毎日のように会ってるよ」 「毎日?」 「まぁ、関わり薄いし、俺が見てるだけだけど」 無性に怖くなって恐る恐る聞いたあたしに東郷は明るく答えた。 明るすぎる声で。 異様なくらいの明るさ。 クスクス笑って若干ホラー。 毎日見てるって……。 いや、何か怖いし。誰? 「狡いよなー。やっと振り向いてくれたと思ったらヤんなきゃ振り出しって。そんなん断れねーじゃん」 「……う、ん。ごめん」 「まぁ、騙して悪かったけど……。そうでもしなきゃ逃げられそうだったし」 「そう、だね」 「正直、楓さんとヤったと思ったら心臓が死にそう。マジで見てるだけの存在だったし」 「あの」 「ちなみに今日の格好よりいつもの方が好み。文字書くときだけ眼鏡を掛けるのとか、すげぇ好き」 「な…」 抱き締める腕に力を籠められて背中がヒヤリとする。 逃がさないと言われているようだ。ってか絶対にそう。 何だかよく分からないけど、交渉に入ろうとされている。
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