ホテル

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眼鏡か……。 確かに文字を書く時だけ掛ける。 学生の頃からずっとそう。 ただ、それって……現状、家と職場だけ。 「あ、大丈夫。心配しなくていいよ。楓さんに誘われたとかヤッたとか皆に自慢したりしねーから」 「東郷……」 「まぁ…。時々、機嫌取ってくれないと口が滑るかもだけど」 脅すようなことを言って、ニコニコと笑いながらあたしの顔を覗き込む東郷の目。 全然、笑ってない。 「ねぇ、その皆ってまさか……」 「うん。脅してごめんね。でも、一晩だけとか無理だし。そこはもう責任を持って相手してよ」 「噓でしょ…」 「本気で」 「はぁ…」 「だから聞いてあげたじゃん。俺と寝て後悔しないかって」 突き落とすように囁かれて血の気が引く。声が出ない。冷や汗まで出てきた。 頭の中のファイルを1枚ずつ捲くっても全然顔が出て来なくて尚更焦る。 だって、まさか、そんな、嘘……。
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